学内講座コード:2431G105
この講座について質問する主催:
東京都立大学オープンユニバーシティ [ 東京都立大学 オンライン講座 (オンライン) ]
講座名:
【オンライン】漆の力 漆工芸の魅力と可能性 日本の伝統工芸
申し込み締切:
2024年11月15日 (金) 23:30
開催日時:
2024年11月25日(月)~2024年12月16日(月)/18:30~20:00
入学金:
3,000円
受講料:
10,100円
定員:
40名
講座回数:
4回
講座区分:
後期
その他:
補足:
-
【講座内容】
東京都立大学オープンユニバーシティはオンラインスペシャル講座を開講しています。オンラインならではの特性を活かし、全国のさまざまな研究者や専門家が登壇し、ユニークかつ興味深い講座を提供します。
今回は、日本の伝統工芸である「漆工芸」を取り上げ、その魅力と可能性について考えます。文字どおり漆工芸は「漆」を原材料とした工芸です。漆が活用されるようになった歴史や文化的背景などを紹介します。
今年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」により、輪島市の伝統産業で国の重要無形文化財に指定されている「輪島塗」の工房や店舗も大きな被害を受けました。職人たちをはじめ、「輪島塗」に関わる多くの方々が「輪島塗」の生産に向けて懸命な努力を続けています。
漆器とは漆を何層も塗り重ねて作る工芸品を指し、食器はもちろん、漆が塗られた工芸品全般が「漆器」と呼ばれます。歴史的にアジアを中心とした国々において、日用品から精巧な装飾が施された美術工芸品まで作られました。「輪島塗」は日本三大漆器の一つと称されています。
本講座では「輪島塗」を含む日本の漆文化を3つの時間軸、すなわち「古代」、「中・近世」、「現代・未来」で取り上げ、日本の漆工芸とその成立の歴史的・文化的背景や、漆工芸の現代の姿とそれを取り巻く環境、漆工芸の未来へ向けての展望を考えます。
講師として山田昌久氏(東京都立大学名誉教授)、北野信彦氏(龍谷大学教授)、田中信行氏(金沢美術工芸大学教授)の3名の専門家が登壇し、それぞれ古代、中・近世、現代・未来の「漆工芸」の魅力を紹介します。
本講座が受講生のみなさまにとって、縄文時代にまで遡る長い伝統を持ちながら、今なお人々の心を揺さぶる「漆工芸」について学び、真摯に向き合い、日本文化とは何かを考え、心で感じる機会となることを願います。
【講座スケジュール】
第1回 2024年11月25日(月) 【古代】 北陸・能登の遺跡から知る漆の技術
元旦の地震で⼤打撃を被った能登・加賀両地域の遺跡は、現存する⽇本最古の漆器(縄⽂時代前期初頭の三引遺跡の漆塗り櫛)や、多数の縄⽂時代晩期の漆器が発⾒されている真脇遺跡・中屋サワ遺跡、弥⽣時代の花弁意匠のある⾼坏で有名な⻄念新保遺跡など、⾼度な漆の技術の存在が示されています。また⻄川島遺跡群の古代末から中世の新しい技術による漆器群の発⾒は、古代の天皇や貴族が使⽤していた漆器と異なる、武家や上位の農⺠が使⽤する新しい漆器の幕開けを示しました。
第2回 2024年12月02日(月) 【中・近世】 漆=URUSHIで読み解くモノづくりの国・日本
⽇本は英語でジャパン。語源はマルコ・ポーロの「⻩⾦の国=ジパング」とされます。確かに⽇宋交易では、⾦と漆⼯品(蒔絵漆器)は、硫⻩や⼑とともに主な輸出品でした。また17世紀前期頃のヨーロッパでは、南蛮交易で輸出された南蛮漆器の漆の艶と蒔絵・螺鈿の美しさが評価され、陶磁器=チャイナの対⽐語として漆器=ジャパンと呼ばれました。このように中・近世の漆と⾦には、⽇本のモノづくり⽂化を知る⼤きなヒントがありそうです。
第3回 2024年12月09日(月) 【現代・未来】 漆の⼒ ―漆表現の過去・現在・未来―
⽇本において漆は、古くから器物をはじめ家具調度類、仏像、建築など様々に⽤いられてきました。漆は東アジア固有の材料であり、中国、韓国、タイ、ミャンマー、ベトナムなどそれぞれの地域で独⾃な漆⽂化を築いてきました。
この講義では、縄⽂時代から各時代を代表する⽇本の漆作品にふれた後、現代の多様な漆表現についてお話しします。
さらにデジタルファブリケーションをはじめとするコンピュータによるものづくりが急速に進む現代の社会状況をふまえながら、漆⽂化の意味や可能性についても考えます。
第4回 2024年12月16日(月) 【古代】 北陸・能登の遺跡から知る漆の技術
元旦の地震で⼤打撃を被った能登・加賀両地域の遺跡は、現存する⽇本最古の漆器(縄⽂時代前期初頭の三引遺跡の漆塗り櫛)や、多数の縄⽂時代晩期の漆器が発⾒されている真脇遺跡・中屋サワ遺跡、弥⽣時代の花弁意匠のある⾼坏で有名な⻄念新保遺跡など、⾼度な漆の技術の存在が示されています。また⻄川島遺跡群の古代末から中世の新しい技術による漆器群の発⾒は、古代の天皇や貴族が使⽤していた漆器と異なる、武家や上位の農⺠が使⽤する新しい漆器の幕開けを示しました。
※アーカイブ配信(録画:7日間限定)視聴も可能です。
講座ナビゲーター 東京都立大学 准教授 小石 絵美
単位数:1単位
※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
名前 | 山田昌久 |
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肩書き | 東京都立大学 名誉教授 |
プロフィール | 明治大学大学院文学研究科博士前期課程修了。筑波大学助手をへて東京都立大学人文科学研究科助教授。2007年教授。現在は東京都立大学名誉教授。京都大学・東京学芸大学・静岡大学・明治大学・神奈川大学で非常勤講師を務める。旧石器時代から江戸時代の遺跡調査、ユーラシア各地の遺跡調査・民族誌調査、実験考古学調査により、生活文化史・人間植物関係史の研究を行っている。最近は①旧石器時代の丸木舟渡航研究、②科学研究費による東アジアから日本列島の水田稲作技術の研究、を行っている。日本考古学協会理事・日本植生史学会評議員・国史跡の整備委員会委員などを歴任。 |
名前 | 北野信彦 |
肩書き | 龍⾕⼤学 教授(※東京都⽴⼤学 非常勤講師) |
プロフィール | 博⼠(学術︓京都⼯芸繊維⼤学・史学︓東京都⽴⼤学)。 (財)元興寺⽂化財研究所保存科学センター主任研究員、くらしき作陽⼤学准教授、(独)国⽴⽂化財機構東京⽂化財研究所保存修復科学センター伝統技術研究室室⻑および東京藝術⼤学⼤学院⽂化財保存学連携教授などを経て、現在、龍⾕⼤学⽂学部教授。(公財)⽇光社寺⽂化財保存会評議員などを兼務。 主な著作に、『天下⼈たちの⽂化戦略 -科学の眼でみる桃⼭⽂化-』(吉川弘⽂館)、『桃⼭⽂化期漆⼯の研究』(雄⼭閣)など。 |
名前 | 田中信行 |
肩書き | 金沢美術工芸大学 工芸科 教授、漆造形作家 |
プロフィール | 1959年東京⽣まれ。1985年東京藝術⼤学⼤学院 美術研究科漆芸専攻修了。漆造形作家として国内外の展覧会に参加する。 また⾦沢美術⼯芸⼤学教授として後進の育成にも携わる。2003年にタカシマヤ⽂化基⾦タカシマヤ美術賞、12年にMOA岡⽥茂吉賞⼤賞。 作品は東京国⽴近代美術館、豊⽥市美術館、⾦沢21世紀美術館、森美術館のほか、海外ではメトロポリタン美術館(米国)はじめ英国、中国、ドイツなど多数の美術館に収蔵されている。 |
名前 | 小石絵美 |
肩書き | 東京都⽴⼤学 ⼤学教育センター 准教授 |
プロフィール | ギリシア共和国・ドイツ連邦共和国におよそ6年の⻑期留学を経てアテネ大学大学院博⼠課程修了、同大よりPh.D.取得。 2019〜2022年⽇本学術振興会(筑波大学)特別研究員PDを経て2023年から現職。 早稲⽥大学と東京理科大学の非常勤講師も兼務。 狭義の専門は⻘銅器時代のギリシア美術史考古学、なかでもエーゲ美術史考古学だが、⻄洋美術史全体を広く視野に⼊れている。 2007年より⽇本における古代ギリシア、パルテノン神殿に関する共同研究調査、「パルテノン・プロジェクト・ジャパン」に参加。 |
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