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連続講座・体験受講レポート vol.27  常磐大学・常磐短期大学受講体験記 常陸国風土記を読む-講座「茨城の文学と歴史と地理」-

セカンドアカデミー・スタッフの米川です。
2013年5月29日(木)、茨城県水戸市にある常磐大学・常磐短期大学(http://www.tokiwa.ac.jp/)にて、「常陸国風土記を読む―講座『茨城の文学と歴史と地理』―」を受講してきました!

常磐大学について

常磐大学・常磐短期大学は、水戸市中心部のほど近く、日本三大名園の一つである偕楽園から続く緑の丘陵地帯に立地しています。
戦前の女学校からの歴史を持つ高等学校をはじめ、中等教育学校、幼稚園を有する学校法人常磐大学の中核であり、短大は1966年、大学は1983年に開学しました。
現在、大学は人間科学部、国際学部、コミュニティ振興学部の3学部に約2,400名、短大はキャリア教養学科、幼児教育保育学科の2学科に約460名の学生が学んでいます。

公開講座については、地域連携センターが所管しており、下記の2種類の講座を展開しています。

① オープンカレッジ
春夏期・秋冬期の2期制で、30講座ほどを開講
② 水戸夕学講座
慶應義塾が丸の内シティキャンパスで開講している人気講座『夕学五十講』をインターネット中継

講座「常陸国風土記を読む」

今回の体験受講にあたっては、茨城県の大学ということで、地域に関連した講座を選びました。常陸国風土記といえば、現代に伝わっている貴重な風土記のひとつとして有名です。

また、この講座は、センターの講座の中でも人気が高く、2001年から12年にわたって継続されています。
講師を務められている瀧口泰行先生(常磐短期大学教授)は、同じく定番講座となっている「万葉集を読む」も担当されているほか、地元の財団が運営している生涯学習講座でも、30年近くにわたって古代神話や万葉集、古典文学などの講座を担当されています。

今回は、2013年度前期の第2回目、講読に入る前の概説の講義を聴いてきました!
講義の合間には、茨城弁を駆使した先生の冗談が入り、受講生の皆さんの笑い声が巻き起こる、とても和やかで、楽しい講義でした。

毎回、新しい切り口でスタート

通常、人気の先生が何年もわたって継続されている講座、というと、どうしても「常連さんばかり」「入りにくい」という側面がでてきてしまいます。特に、史書や古典文学などの講読講座の場合、何年も、ときには10年以上の時間をかけて1冊を読み込んでいきますので、余計にその傾向が強くなります。
しかし、新規に参加する人が入りやすいよう、また、継続されている方を飽きさせないよう、瀧口先生は一つの原則をご自身に課されています。それは、初回~2回目の概論部分においては、必ず「別の切り口から講義を始めていく」ということ。

例えば、私が参加した今回は、
「風土記とは、口承を文字化したものなのか?それとも、先行して存在していた記録をまとめたものなのか?」
という問いを設定した上で、両方の説を紹介する形をとりながら、初参加の方でもわかりやすく、より興味を持ちやすいように、風土記の成り立ちや特徴を講義されていました。

過去の講座では、

  • ≫どのように写本され、どんな持ち主を経て現在に伝わって来たか(伝本系統)
  • ≫記述されているものの名称や、書きぶりの違い

など、その都度フォーカスするポイントを変えながら、「風土記とは」「その成り立ちは」といった概説を講義されてきたそうです。
これなら、常連の方も、たんなる「前回の続き」としてではなく、あらたな視点・観点を得て、毎回新鮮なスタートを切れますよね!

「風土記とは」をしっかり学べた1時間半

そもそも私、歴史好きではあるものの、主として興味があるのは近世以降で、「風土記」については、
「中央が各国府に地域事情をまとめさせたもの」
「あまり現存していない(常陸国風土記は多くの部分が残る貴重なもの)」
といった、高校で習った程度の知識しかありませんでした。

そこで、同じくあまり詳しくないという方向けに、今回学んだことを大まかにまとめてみました。

  • ① 「風土記」という名称は平安期のものである。作成された当時は、国司から中央への報告書である解文のひとつであった
  • ② 「中国に倣って全国の地誌をまとめることになり、勅令が出された」との認識が持たれているが、詔に基づくものであるものの、勅は出ていない
  • ③ 「風土記」という名称から、地誌と考えている人が多いが、それにとどまらない内容となっている
    ≫その地域の特徴や伝承
    (奉斎する神々、氏族とその祖先、土地と地名、習俗、社会規範、など)
    ≫その地域の行政・産業の情報
    (産物、交通の記録、行政区画、など)
  • ④ 一定のフォーマットに従って書かれたようなものではなく、それぞれ個性がある。例えば、常陸国風土記は、他の風土記に比べて歌の記載が多い

ちょっと古いですが、「へぇー」の連続ですよね。
もちろん、これで全てではありません。1時間半の講義ながら、本当に盛りだくさんの内容でした。中学や高校の日本史の授業で得た断片的かつ不正確な知識が、ひとつひとつ覆され、広がりや連続性を持ったものに置き換わっていく、非常に知的で刺激的な時間でした。

「講読」のイメージが一変

最後に、先生が最初に提示された「風土記とは、口承を文字化したものなのか?それとも、先行して存在していた記録をまとめたものなのか?」という問いの答えです。

これは、「両方である」というのが先生のお考えでした。
その土地の産品や交通、地方区分などについては、国府においてもととなる資料を常備していたと考えるのが自然ですし、実際に『履中天皇紀』には、5世紀末に各国に記録官を置いたとの記載があるそうです。
また、地域の氏族についての歴史・伝承についても、『推古天皇紀』の記録から、風土記に先んじて、文字化を指示する記載がみられるとのこと。
しかし、単純にそれらをまとめて、中央に提出しただけかというと、そうではなく、新たな聴き取りや伝承の収集も行われていると考えるのが妥当であるとのお話でした。

しかもこれは、単純な「両方有り得る」という結論の提示ではありません。
先生はこの問いと答えを通じて、「いずれの要素も含んでいるという見方に立てば、各郡ごとの書きぶりの違いなどに着目し、自分なりの新たな問いを立て、風土記を読み深めていくことが可能」という、これから学んでいく上での視点を、受講生に提供したのです。

私がこれまで持っていた、「講読は退屈」のイメージは一気に覆り、「この講読に通しで参加してみたい!」との思いを抱きながら、1時間半の体験受講が終わりました。

受講を終えて

講義終了後、私の故郷である笠間市周辺の記載などについて個別に質問をしたところ、先生の気さくなお人柄もあって、次から次へとお話が広がり、気が付けば1時間ほども経っていました。(お忙しいのにすみません…)

その時間に先生から伺ったことで、一番印象的だったのは、「風土記研究は人文科学である。『科学』である以上は、たんに読み込むだけではなく、常に仮説を立て、検証していくことが必要だし、検証のためには文系理系を超えた隣接分野の探求が必要」というお話でした。改めて「学び」の基本について、貴重な気づきをいただきました。

瀧口先生、本当にありがとうございました!

常磐大学・常磐短期大学オープンカレッジの情報はこちらから
http://www.tokiwa.ac.jp/region/opencollege/


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